3月19日「五感を使って学ぶ意欲を育てる~生物としてのヒトから読み解く~」

成蹊中学・高等学校
佐藤 尚衛 先生


『五感で取り入れて動く、環境を整えてあげる


まず最初に全員に配られたのが、レモン一切れと何やら怪しい赤い実。
当然、レモンをなめてみると酸っぱいです。
次に、赤い実を口に含み、3~4分間舌にこすりつけます。
そのあとレモンをなめてみると、不思議なことにレモンが甘く感じるのです!
この赤い実の正体は、ミラクルフルーツというもの。
ミラクリンという味覚修飾タンパク質が含まれていて、酸味を甘味に変換するのです。
熱帯地方に生息する植物で、原産地域等では昔から酸っぱいものを食べる際に利用されてきたそうです。

・・・と、ミラクルフルーツの不思議から始まった今回のカフェ。
「味覚」は五感の一つですが、実際に五感で感じ、その理由を知ると、興味深くなりますね。

そもそも生物は、刺激を得て反応し、行動に移します。
ヒトは、行動した後に目で見てまた刺激を受け、フィードバックをして次の行動ができるのです。
佐藤先生はその環境が大事だとし、五感で感じることを授業に取り入れているそうです。

サメの解剖の授業では、生徒たちはまずにおいに驚きます。
臭みがあるのは尿素が多いからです。
体液の浸透圧を海水とほぼ同じにし、海の中で生きるのに適応しているというわけです。
また、解剖していると、お腹の中で孵化したサメの赤ちゃんが出てくることがあります。
赤ちゃんまで殺してしまった、と命の重さを感じ、ショックを受けるそうです。
ここで命の大切さを学ぶのです。

また違う授業では、俳句を作ります。
生物の季語を使うというのが面白く、子どもたちの感性が感じられます。
夏の終わりになると地面に落ちている蝉。
そばを通り過ぎようとすると、最後の力を振り絞って暴れだします。
「蝉爆弾」と表現したその俳句は、蝉の様子を直に見て、感じたことをうまく表現していますね。

子どもに必要なのは、経験し、自ら行動することだと言います。
五感で取り入れて感じ、動けるよう、環境を整えてあげることが大事です。
日々の生活すべてが学びの材料です。
感じたことを大事にして、子どもの興味関心が広がっていくといいですね。


花まるカフェマスター
菊池 光昭
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